「知り合いがアメブロで集客に成功しているから、私たちもやってみようと思っているんだけど、どう思う?」。
久しぶりに会ったリラクゼーションサロンを経営する友人が共通の知人を例に挙げて、おもむろに問いかけてくる。
「あの人の場合は、アメブロだからというよりも、ノウハウを丸ごと掲載していて内容が充実しているからだと思うなあ。このサロンの場合は地域も限定できるし、ターゲットも女性に限定しているから、facebookページを作ってfacebook広告を出した方が、効果が高いかもしれないね」。
指定したターゲットへのfacebook広告の到達率が非常に高いと聞いた話を思い出して、そう答える。性別や居住地域、年齢層など、ターゲットの属性が明確であればお勧めできるという話をすると、ひとしきり頷いたあとに「他にも良い情報があったら、教えて」と言う。

ソーシャルメディアマーケティングの実際について調べようと、自宅の本棚にしまっておいた『キズナのマーケティング』(池田紀行著)を手に取る。ページをぱらぱらとめくると、「効果を上げる施策を、効率を測る指標で測定してはならない」という項目を見つける。facebookページの運用でよく言われるのが、費用対効果ではなく投資対効果でその効果を測る必要があるということだ。ここでいう投資対効果とは、単純にfacebookページ全体の『いいね!』の数で効果を測るのではなく、個別の投稿に対するコメントやリアクションなどから自社のお客様の興味・関心は何であるかを理解したり、どういったことであれば響くのかなどを分析し、商品や経営の改善に活かすことだと言われている。炎上というデメリットはあるものの、お客様のナマの声を聞けることが最大のメリットであると書籍には書かれていた。
facebookをやっていると、知人から「○○というページに『いいね!』を押してください」と通知がくる。別の知人に聞くと、「『いいね!』を押してくれているのは、知り合いの人ばかりだね」と言う。お付き合いの『いいね!』なのか、心からの『いいね!』なのか、甲乙つけ難い状況に陥っている事が大多数だ。単純に『いいね!』の数だけで効果を測ろうと思うとわからないという趣旨の内容に、深く頷く。

リラクゼーションサロンへの提案にあたり、独立時の師匠に案件の相談と称して一連の話を伝える。「整体などの地域密着型の業種であれば、案外タウンページ広告がいいかもしれないよ」と、『マジで儲かる! 5秒前』(主藤孝司著)を紹介していただいた。打ち合わせの帰りに書店に寄り、早速購入した。タウンページ広告や新聞の折り込みチラシで受注を増やすためのポイントが事細かに書かれているが、実際にタウンページ広告を出している人に聞き込みをすると「広告費は回収できるけど、それ以上の効果はない」と口を揃えて言う。実践内容を聞くと、「広告を大きくする」「業種の頭に表示されるように『アーアーアー』と会社名の前につける」など、書籍で言うところの『タウンページ神話』の対策を実行しているようだ。
タウンページで問い合わせ先を探す人は、「今すぐどうにかしたい」という切羽詰まった状況である事が特徴だそうだ。明らかなニーズを持つ人を購買につなげる上でのポイントは電話応対である。その場の懇切丁寧な対応はもちろんのことであるが、著者は継続的な活用のために「どの広告を見て電話をかけてきたのか」を必ず聞く事にしているという。複数出稿している広告のうち、効果のあるものとないものを見極めることで効果の高い広告に集中して投資できるようになるという。

女性のお客様に向けてどのように情報発信をするかを考えているうちに、『女女格差』(橘木俊詔著)という書籍に出会う。”男女格差”をもじった書籍名だが、女性同士の中であっても格差は存在するという。教育をどこまで受けるか、既婚か非婚か、子供をもつかもたないか、専業主婦か勤労女性か、総合職か一般職か、正規就業か非正規就業か、美人かどうかなど、ありとあらゆる条件で女性を分類した上でそれぞれの傾向を分析し、必ず分類毎にある程度の格差が生じていると書籍では断言されている。例えば、女性の最終学歴により就業状態が異なり、年収が変わってくるため、子供の高等教育への進学率が変わる傾向があるという。この根拠に基づくと、大学進学の支援をしている学習塾では生徒募集のチラシを打つ際に、なるべく成約率の高そうなところに狙って打ち出す事ができるということになる。

最新のツールであるfacebookページと、旧来のツールであるタウンページや折り込みチラシの広告と、活用語の運用方法は非常に似通っている。どの広告・発言に対し、どれほどのレスポンスがあるのかを把握することで、お客様に響く言葉や内容、ニーズなどを汲み取る事ができるのはどのような広告媒体であっても共通のことと言えるし、そういった工夫をすることで効果を出しているのは間違いないだろう。効果が広告媒体によらないとしたら、誰に対して、どのようにサービスを伝えるかを明白にすることが重要になってくる。どんなに流行の広告媒体を使ったとしても、サービスを受けたいと思う相手が広告の向こう側にいなければビジネスには繋がらない。自社のお客様となりうる対象をしっかりと理解し、間違いなくその人たちに届く広告媒体や言葉を選ぶ事こそが、一番重要なポイントとなるだろう。